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中小企業庁担当者に聞く「事業再構築補助金のポイント」

2022.12.22

ミラサポplusから転載

事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するために、中小企業等の新分野展開、業態転換、業種転換等の思い切った「事業再構築」の挑戦を支援する補助金です。

補助金の申請要件・公募要領などの詳細については、中小企業庁の「事業再構築補助金」のサイト外部リンクはこちら事業再構築補助金事務局のサイト外部リンクはこちらをご確認いただくとして、特に中小企業・小規模事業者の方に知っていただきたい事業再構築補助金のポイントについて、中小企業庁 技術・経営革新課の藤井係長にお話をうかがいました。

事業再構築補助金の交付までの流れ

事業再構築補助金は非常に関心の高い補助金で、中小企業・小規模事業者の方をはじめ、支援機関の方からも問い合わせを多くいただいています。これまでの公募の実績をみると、「はじめて補助金に申請する」という方も目立ちます。そこで、まずは「補助金」の基本についてご説明します。

補助金は、様々な政策課題を解決するために、企業や個人の方の取組を支援するための制度で、それぞれの補助事業の目的ごとに申請に必要な要件が決められています。

事業再構築補助金の場合は、

①コロナ禍の影響によって売上が減少していること

①コロナ禍の影響によって売上が減少していること

②新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、指針に示す「事業再構築」を行うこと

②新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、指針に示す「事業再構築」を行うこと

③認定経営革新等支援機関(国の認定を受けた中小企業診断士、金融機関等)と事業計画を策定すること

③認定経営革新等支援機関(国の認定を受けた中小企業診断士、金融機関等)と事業計画を策定すること

などが、必須の申請要件となります。詳細については、事業再構築補助金ページ外部リンクはこちらでご確認ください。

事業再構築補助金は、申請した全ての事業者の方が採択されるものではありません。提出された事業計画書は、公募要領で示している審査基準に沿って、再構築の内容や事業化の妥当性・実現性などを審査した上で、採択・不採択を決定しています。事業再構築補助金では、第2回までの公募で、延べ4万件を超える申請のうち、合計約17,000件が採択されました。

また、給付金のようなものとは違って、採択されただけでは補助金を受け取ることはできません。採択後、事務局において補助事業の対象経費等の妥当性について確認を行った上で、「交付決定」を行います。事業者の方には、原則として交付決定後に事業を実施していただきます。そして、事業終了後、事務局による補助金額の「確定検査」を経て、補助事業に要した経費として認められた経費が実際に補助金の対象となります。
原則として、補助金は後払い(精算払い)ですので、補助事業の実施期間中は、事業者の方がすべての経費を立て替える必要があります。そのため、金融機関からのつなぎ融資をうける事業者の方もいらっしゃいます。

「通常枠」、「緊急事態宣言特別枠」、「最低賃金枠」の違い

事業再構築補助金では「通常枠」、「大規模賃金引上枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」「最低賃金枠」があり、全部で5つの「枠」が設定されています。このうち、中小企業・小規模事業者の方が活用しやすい、「通常枠」「緊急事態宣言特別枠」「最低賃金枠」の3つの枠についてご説明します。

「通常枠」は最も一般的な枠です。補助金額は、以下のようになっています。

●通常枠(中小企業)の補助額・補助率

従業員数補助額補助率
20人以下 100万円~4,000万円 2/3
(6,000万円超は1/2)
※中堅企業の場合は、1/2(4,000万円を超える部分は1/3)
21~50人 100万円~6,000万円
51人以上 100万円~8,000万円

「緊急事態宣言特別枠」と「最低賃金枠」は、通常枠よりも補助金額の上限を引き下げる一方補助率を引き上げた枠で、通常枠より採択されやすくなっています。

「緊急事態宣言特別枠」は、令和3年の緊急事態宣言により、深刻な影響を受けた事業者の方が対象です。要件に合致していれば、地域や業種は問いません。また、緊急事態宣言特別枠で不採択となった場合でも通常枠で再審査されるので、通常枠よりも有利です。

「最低賃金枠」は、第3回公募から新設された枠です。2021年10月から全国平均で28円を目安に最低賃金が引き上げられましたが、これにより影響を受けた事業者の方を対象としています。「最低賃金枠」は加点措置を行い、「緊急事態宣言特別枠よりも採択率で優遇される」ため、大変有利な枠となっています。

なお、最低賃金枠で採択されたことを公表すると、個社の賃金水準が公になってしまうのではないか、というご懸念の声を受けて、第3回公募からはどの枠で採択されたかは非公表としますので、その点はご安心ください。

補助金額・補助率は、緊急事態宣言特別枠と最低賃金枠は同条件です。

●緊急事態宣言特別枠・最低賃金枠の補助額・補助率(中小企業)

従業員数補助額補助率
5人以下 100万円~500万円 3/4
※中堅企業の場合は、2/3
6人~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

●緊急事態宣言特別枠・最低賃金枠の要件

緊急事態宣言特別枠 通常枠の申請要件を満たし、かつ、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~9月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者
※売上高の減少に代えて、付加価値額の45%減少でも可
最低賃金枠 必須申請要件を満たし、かつ下記の①および②を満たすこと。
①2020年10月から2021年6月の間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること。
②2020年4月以降のいずれかの月の売り上げが対前年または、前々年の同月比で30%以上減少していること。
※売上高の減少に代えて、付加価値額の45%減少でも可。

事業計画の策定にあたって

先ほど申し上げた通り、事業再構築補助金では、「認定経営革新等支援機関」と相談しながら、事業計画を策定することが必須要件となっています。ただし、事業計画の策定・実行・計画目標の達成に責任をもつのは、申請者である事業者自身です。このため、経営層の方が自ら主体的に事業計画を策定していただくことが重要と考えています。

事業計画書の書き方について決まりはありません。事業再構築補助金・採択事例のページで、これまでに採択された事例を紹介していますので、これから申請を検討されている事業者の方は、他社の事業計画書・事例も参考にしながら、事業計画書の作成をすすめても良いかもしれません。大切なのは、「補助金のための事業計画」ではなく、「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の環境変化を新たなビジネスチャンスととらえた事業計画」を策定していただくことです。

なお、過去2回の公募では、事業計画書自体はしっかりと作成していただいるものの、申請書類の不備・不足により、不採択とせざるを得ないケースも散見されました。申請いただく書類に関しては、しっかりと確認するようにしていただき、ミスのないように、期間に余裕をもって申請していただけるようお願いします。