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政府/21年度国土強靱化年次計画素案検討資料公表/流域治水など441施策展開

2021.04.26

【建設工業新聞  4月 26日 2面記事から引用】

政府は23日に東京都内で有識者会議を開き、2021年度「国土強靱化年次計画」の策定に向けた素案検討資料を公表した。20年7月豪雨や大雪など20年に発生した災害の教訓や、急激に進む気候変動の影響などを踏まえ、施策を拡充。あらゆる関係者が協働する「流域治水」の取り組みなど441施策を展開する。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化計画」(21~25年度)の着実な推進に向け、進捗(しんちょく)状況の把握・管理も行う。5月10日まで検討資料への意見を募集。さらに検討を深め、6月の計画決定を目指す。

23日の「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」(座長・藤井聡京都大学大学院工学研究科教授)で検討資料を審議した。

検討資料によると年次計画に基づき、21年度は▽5か年加速化対策の着実な推進▽地域の強靱化推進▽広報・普及活動の推進▽各府省庁での横断的な取り組み▽戦略的政策課題の検討結果、今後の防災・減災対策の検討▽20年度に発生した災害の教訓を踏まえた取り組み-の6分野で国土強靱化対策に取り組む。

地域の強靱化では、全市町村で21年度内に強靱化地域計画の策定が完了するよう、後押しする。

国土強靱化に向けた戦略的政策課題として「風土と自然条件にかなう国土強靱化」を挙げた。災害リスクを踏まえた土地利用を推進。リスクの高いエリアからの移転促進を加速するため制度改正を行う。治水対策に街づくり施策を組み合わせた高台街づくりも展開する。

官民連携や民間主導の取り組みを後押しするための環境も整備。民間事業者への情報提供・共有の徹底や、規制改革や税制活用など民間投資を誘発する仕組みづくりに注力する。PPP/PFIによるインフラ整備や老朽化対策も推進する。

施策数は前年度から17件増やした。災害に強い国土幹線道路網の形成を目指した高規格道路のミッシングリンク(未接続区間)解消や、インフラ施設の耐震・津波対策と老朽化対策の推進などを盛る。集中豪雨などの観測体制強化やテックフォース(緊急災害対策派遣隊)の充実などソフト施策も記載する。

施策の重要業績指標(KPI)は項目を整理済みだが、指標値は精査中のため公表していない。5か年対策の21年度分の予算措置状況や「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(18~20年度)の実施結果も固まり次第反映する。